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先端巨大症

1.概要

成長ホルモン(growth hormone: GH)の分泌過剰によっておこる病気で、四肢末端の肥大、顔貌の変化,臓器肥大、糖尿病などの代謝異常、高血圧などをきたす病気です。

2.疫学

患者数は宮崎県における調査では100万人あたり85人程度の頻度と推定されており、この頻度で計算すると我が国では約10000人存在すると推定されます。

3. 原因

そのほとんどがGHを産生する下垂体の良性腫瘍(GH産生腺腫)が原因です。また、稀ですが、下垂体以外にGHあるいはGH分泌を促進するホルモン(GHRH)を産生する腫瘍(異所性腫瘍)が原因となることもあります。

4. 症状

GHの過剰により、骨、軟骨、皮膚、粘膜および臓器の増殖・肥大により特徴的な先端巨大の症状を呈します。すなわち,四肢末端の肥大、手足容積の腫大(指輪や靴のサイズが合わなくなる)、顔つきの変化(眉弓部の突出,鼻・口唇の肥大,下顎の突出など(先端巨大様顔貌:図))、巨大舌を認めます。これらの症状の多くは徐々に進行するので本人や家族は気付かないことが多い。その他、発汗過多、咬合不全、臓器の肥大、睡眠時無呼吸症候群、手根管症候群、女性での月経異常などがあります。腫瘍の増大に伴い頭痛、視野障害を認めます。

5. 合併症

GHは抗インスリン作用を有するため、インスリン抵抗性の増大のため糖尿病および耐糖能障害を約75%に認めます。また、高血圧の合併も30~40%に認めます。腫瘍では大腸ポリープ,腺腫様甲状腺腫の合併が多く,悪性腫瘍では大腸癌,甲状腺癌が多いと報告されている。他の合併症として、脂質異常症、肝障害、狭心症、心筋梗塞、脳血管障害、腎障害などがあります。これら合併症のため、治療しないでいると先端巨大症の患者さんは生命予後が悪くなってしまう(寿命が短くなってしまう)といわれています。

6. 診断

本研究班で診断の手引きを作成しています。主症候のいずれかを満たし、検査所見(GH過剰の証明と下垂体腫瘍の存在)を満たせば診断されます。非典型例もあり、診断上の注意点も手引きに記載してあります。

7. 治療

本研究班で治療の手引きを作成しています。
治療の目的は過剰に分泌されているGHをコントロールすることにより、死亡率を一般の健康な人と同等にすることです。GHをコントロールすることで症状、合併症の軽減と、死亡率を一般の健康な人と同じレベルにすることが可能となります。
先端巨大症の治療には手術療法、薬物療法、放射線療法があります。我が国ではまず治療の第一選択として下垂体腫瘍を摘出する手術療法(経蝶形骨洞的下垂体腫瘍摘出術(TSS))が行われます。手術療法によってコントロール不良な場合や手術ができない場合に薬物療法が行われます。薬物療法にはソマトスタチン誘導体(酢酸オクトレオチド;サンドスタチンLAR(商品名))、GH受容体拮抗剤(ペグビソマント;ソマバート(商品名))、ドパミン受容体作動薬(ブロモクリプチン;パーロデル(商品名))があります。さらに薬物療法でもコントロール不良な場合には放射線療法もしくは再手術が考慮されます。放射線療法にはガンマナイフ、サイバーナイフなどがあります。